事件の概要2026年3月下旬(先月下旬)、羽生市消防本部で退職職員1人の見送り行事が行われていた最中、119番通報に対応する出動指令が出ました。しかし、指令室員を除くほぼ全職員(約40人)が屋外にいたため、強風で出動音声が聞こえず、3分間の遅延が発生。
到着した救急隊が対応した70歳代男性はすでに心肺停止状態で、搬送先の医療機関で死亡が確認されました。
詳細な経緯
- 場所: 羽生市消防本部玄関前(屋外)
- 参加者: 救急隊員3人を含む約40人の職員(指令室員以外はほぼ全員が参加)。退職者1人の見送りだけのために大勢が集まっていました。
- 天候: 強風が吹いていた。
- 出来事の流れ:
- 70歳代男性の家族から119番通報。
- 指令室員が指令システムの音声で出動指令を発令。
- しかし、屋外にいた職員たちは強風のため音声に気づかず。
- 3分後、庁内放送で再指令を行い、ようやく救急隊が出動。
- 到着時、男性はすでに心肺停止状態。救急隊は直ちに救命処置を行い、病院へ搬送しましたが、死亡しました。
病院の見解搬送先の医療機関は「今回の出動遅延とお亡くなりになられたことの因果関係は認められない」との見解を示しています。
消防本部の対応
- 男性の家族に対し、遅延の理由を説明し謝罪。
- 今後、事案を再調査し、厳正な処分を行う。
- 退職者の見送り行事自体を廃止することを決定。
- 山崎武則消防長は「救急出動の遅延が発生したことを重く受け止め、市民からの信頼回復に全力で取り組む」とコメント。
この事件は、4月6日に羽生市消防本部が公表し、読売新聞や埼玉新聞などで報じられました。 消防本部として「ほぼ全職員が1人の退職者を見送るために屋外にいた」という体制が問題視されており、信頼回復に向けた対応が求められています。
消防の救急適切な対応の手順とは
1. 119番通報の受付(通信指令室)
- 通報者が「119番」に電話すると、消防本部の通信指令室につながります。
- 指令員(通信指令員)は、以下の点を順番に確認します(緊急性が高い場合は、住所確認だけで出動を先行させる場合あり):
- 災害の種類(「救急です」)
- 場所(市町村名から住所・目標物)
- 傷病者の状況(症状、意識・呼吸の有無、年齢、性別など)
- 通報者の名前・連絡先
- 指令員は緊急度判定プロトコル(Ver.2など)を使って、症状から緊急度を判定します。心停止が疑われる場合などは即時CPA(心肺停止)対応として、電話を通じてバイスタンダー(通報者や周囲の人)に心肺蘇生の口頭指導を行います。
- 出動指令:住所や状況が把握でき次第、指令システムで該当の消防署・救急隊に音声や画面で出動を指示。ポンプ車(消防車)との連携出動(PA連携)が必要な場合もあります。
2. 救急隊の出動準備と現場へ向かう
- 救急隊(通常3名体制:隊長、救急救命士含む隊員)は、消防署などで待機中に出動指令を受けます。
- 迅速に救急車に乗り込み、出動。サイレン・赤色灯を使用し、現場へ急行。
- 出動途上:指令室から追加情報を無線で受信したり、必要に応じて電話口頭指導を継続。
- 全国平均の現場到着所要時間は約9〜10分程度(地域・交通状況により変動)。重症時は到着までの時間が命に関わるため、バイスタンダーの一次救命処置が重要です。
3. 現場到着後の対応(救急隊の主な活動)到着後(現着)、救急隊は以下の手順で動きます:
- 安全確認と初観察:周囲の安全を確保し、傷病者に近づきながら全体像を観察(意識、呼吸、循環など)。
- 緊急度判定(現場版プロトコル):
- 重症感の評価(気道・呼吸・循環・意識)。
- バイタルサイン測定(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2、瞳孔など)。
- 主訴・非生理学的指標(疼痛、受傷機転など)・症候特異的指標で総合判定。
- 緊急度:緊急(赤)→準緊急(黄)→低緊急(緑)→非緊急(白)。
- 状態が変化しやすいため、再評価を繰り返します。
- 応急処置・救命処置:
- 心肺停止や呼吸停止の場合:即時心肺蘇生(胸骨圧迫30回+人工呼吸2回を繰り返し)、AED使用。
- 気道確保、酸素投与、止血、固定、吸引など。
- 救急救命士がいる場合:医師の指示(メディカルコントロール)のもとで点滴、気管挿管、薬剤投与などの特定行為が可能。
- バイスタンダーが行っていた処置の引き継ぎ。
- 観察・情報収集:傷病者本人や家族から持病、服薬、かかりつけ病院などを聴取。救急活動記録票に詳細を記録。
4. 搬送先医療機関の選定と連絡
- 症状・緊急度に応じて、適切な病院を選定(初期・二次・三次救急医療機関、救命救急センターなど)。
- 指令室や救急隊から病院へ事前連絡(病名・症状・バイタル・処置内容など)。
- 病院から「収容可能」の回答を得てから搬送開始(受け入れ拒否や照会が複数回になる「搬送困難事案」も発生)。
- 重症時はドクターカー(医師同乗)やヘリコプターの要請も検討。
5. 搬送と病院引き継ぎ
- 救急車内で処置を継続しながら病院へ搬送。
- 病院到着(病着):医師・看護師に状況を詳細に報告・引き継ぎ。
- 必要に応じて病院内で待機したり、追加処置。
- 終了後:帰署し、活動記録の整理・検証(メディカルコントロール協議会での事後検証を含む)。
全体のポイントと留意事項
- 救命の連鎖:早期通報 → 一次救命処置(バイスタンダー) → 二次救命処置(救急隊) → 高度医療が鍵。119番通報時に指令員が指導してくれるので、落ち着いて対応を。
- 緊急度判定の導入:多くの消防本部で119番時と現場の両方で活用され、適正利用や効率化を図っています。
- 救急救命士の役割:高度な処置が可能ですが、医師の指示下に限られます。
- 不搬送の場合:軽症で医療機関受診が不要と判断された場合、家族に説明し不搬送(ただし、本人・家族の希望を尊重)。
- 羽生市の事件のように、出動指令の伝達遅れは深刻な問題。消防本部では常時、指令室員が対応し、職員の待機体制を維持するよう運用されています。
これらの手順は、消防庁の「緊急度判定プロトコル」や「救急車利用マニュアル」、「救急隊員の行う応急処置等の基準」などに準拠しています。実際の活動は傷病者の状態や地域事情で柔軟に調整されます。


コメント